開発の経緯

クレナフィン®爪外用液10%は、科研製薬株式会社において創製された新規トリアゾール系化合物であるエフィナコナゾールを有効成分とする日本初の外用爪白癬治療剤です。

爪白癬は、皮膚糸状菌に分類されるTrichophyton rubrumTrichophyton mentagrophytesを主な原因菌とする爪の感染症であり、爪の混濁、肥厚、変形、落屑といった外見上の変化のみならず、爪の肥厚に伴い靴を履く時の痛みや歩行困難等が出現するなど、患者には肉体的・精神的な負担がかかります。また、治療せず放置することで、家族内感染等周囲への感染の拡大を招いてしまうことも問題点です。
本剤承認前において、日本国内で承認されている爪白癬治療薬は経口抗真菌薬のみであり、「皮膚真菌症診断・治療ガイドライン」でも同薬による治療が原則です。しかし、経口抗真菌薬には肝障害等の副作用や薬物相互作用がみられることがあり、特に高齢者や合併症により複数の薬剤を服用している患者では使用が制限される場合があります。そのため、安全性に対する懸念が少なく、爪白癬に対し外用で有効性が期待できる新たな治療薬が望まれていました。

科研製薬株式会社において創製されたエフィナコナゾールは、各種基礎的研究の結果、爪白癬の原因真菌(皮膚糸状菌)に対して高い抗真菌活性を有することが確認されました。更に、ケラチンとの親和性が低く、爪甲での透過性に優れることから、外用剤として爪表面に塗布することにより、爪甲内・爪床において高い抗真菌活性を発揮する可能性が示唆されました。これらの結果を踏まえ、科研製薬株式会社は本成分が外用の爪白癬治療薬として有望であると判断し、臨床試験を開始しました。

エフィナコナゾールの臨床試験は、海外においては米国のDow Pharmaceutical Sciences, Inc.(当時、現 Valeant Pharmaceuticals International, Inc)が、日本国内においては科研製薬株式会社が実施しました。海外及び日本国内で実施した臨床薬理試験ではエフィナコナゾールの皮膚刺激性に大きな問題は認められず、また日本人と外国人との間で、皮膚刺激性や薬物動態が類似していることが確認されました。
第Ⅲ相臨床試験としては、国際共同第Ⅲ相試験(実施国:日本、アメリカ及びカナダ)及び海外第Ⅲ相試験(同:アメリカ及びカナダ)の2試験を実施しました(いずれも基剤を対照とする二重盲検比較試験)。両試験ともに薬剤投与期間を48週間とし、投与開始後52週目の「完全治癒率※1」を主要評価項目、投与開始後52週目の「真菌学的治癒率※2」「臨床的有効率※3」「完全又はほぼ完全な治癒率※4」「健康領域の新たな伸長」を副次的評価項目としました。その結果、いずれの試験においても、エフィナコナゾール投与群は基剤投与群に比べすべての有効性評価項目において有意な差が認められました。安全性については、報告された副作用の大部分は適用部位の皮膚症状でした。

以上の国内外で実施した試験結果に基づき、科研製薬株式会社は2012年10月に「クレナフィン®爪外用液10%」の名称で製造販売承認申請を行い、2014年7月に同承認を取得しました。

  • ※1 完全治癒率:感染面積0%かつ真菌学的治癒の割合
  • ※2 真菌学的治癒率:KOH直接鏡検と真菌培養検査がともに陰性の割合
  • ※3 臨床的有効率:感染面積10%未満の割合
  • ※4 完全又はほぼ完全な治癒率:感染面積5%以下かつ真菌学的治癒の割合

ページトップに戻る